MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第2話

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・コンコン・・・・

部屋のドアをノックする音がした

 「……Zzzzz…・・」

だが僕は夢の中

・・・・コンッコンッ・・・!

ノックが強めになるが

 「……すーすーすー」

やはり僕は気付かない

・・・・・・ドンッ!ドンッ!ドンッ!!

ついにノックとはいえない強さとなる

 「……ほぇ…?」

寝ぼけつつも僕はようやくそれに気付いた

 (…こんな朝っぱらから誰だろう…?)

僕はもぞもぞとTシャツとスパッツの格好でベットから這い出す
そしてドアの方に向かおうとすると

・・・ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドガァ!!

 「うわぁ!?」

ドアを強連打する音が聞こえてきた
しかも……

 (ラストは蹴りじゃないかな…ってことは)

・・・ドガァ!ドガァ!ドガガガガガ!!

 「はいはい!今、開けるから開けるから!」

・・・・シュィーン・・・・・

ドアの開閉ボタンを押しドアは横へとずれ
開いていきそこには…

 「…やっぱりシルヴィ叔母さっ…ぐほっ!?」

僕の言動を遮るように突然
えぐりこむようなワンパンチが僕のボディに決まる

 「オバサンゆうな」

緑の髪を二つのおさげにしたフォニュエール…
…僕の叔母、シルヴィス叔母……いやおねーさんがそこに居た

 「ぐおお……な、なんのようですかシルヴィおねーさん」

 「いやね可愛い可愛い姪っ子が怪我したって
  聞いたからお見舞いに」

 「その怪我した可愛い姪っ子に『ぼでーぶろー』ですか…?」

 「不適切な言動に修正を入れただけよ
  それに怪我したの左腕でしょ?」

 「……」

もはや何も言うまい…この人は相変らずだ
外見は少女に見えるがもう三十路前の大人の女性なのに…

 「…フレイア…?今、心の中で年増って思わなかった?」

・・・・フルフルフルフル・・・・・・

叔母の勘の鋭さに冷汗をかきながら僕は高速で首を横に振る

 「…なんにせよ僕はまだ眠いんで寝ますよ?
  夜明け前に帰ってきたから眠くて眠くて…」

 「昨夜、怪我したんだって?」

 「そうですよ~」

僕はフラフラと歩いていき、ベットにもぞもぞと潜り込む

 「昼には起きて軍の事情聴取受けに行きますから~」

 「え~!つまんないなぁ話聞きたかったのにぃ」

 「起きたらね~おやすみなさ~い…Zzzzz」

 「ちぇ~」

シルヴィおねーさんは不貞腐れた顔でソファにドカッと座り込む

 「ん?」

辺りを見渡し、ふと叔母は机の上に置かれた赤い箱と
真ん中から折れている刀に気付く

 「ありゃま、苦労して取ったS武器壊れちゃったんだ可哀想に」

そう言いながら叔母はソファから立ち上がり机の方へ近づく

 「こっちのレアキューブは何かな…?」

重要な物などを入れておく特製の赤い箱を叔母は持ち上げて

 「え~と…証拠物件…?」

僕がキューブに自分で登録しておいた名称を読み上げる

 「へぇ~」

・・・・パカッ・・・!

勝手に箱を開けて中身を確かめる

 「へぇ~」

中身を手に持ち色々と調べ、そして…

 「…Zzzzz」

寝ている僕の方を向き

 「へぇ~~♪」

それはもう、とてもとてもわっる~い笑顔で僕を見つめた……

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
寝姿



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「…ふぁぁ~あ」

 「おはよ~♪」

 「シルヴィおねーさん来てくれたのに
  ほおって置いてすみませんでした」

 「いやいや♪」

 「…?…なにやら御機嫌ですね…?」

おかしいな…不機嫌だと思ったのになぁ…

 「べっつに~?」

…怪しい…怪しすぎる

 「寝ている間に部屋の中荒らしたんじゃないでしょうね?」

 「別に部屋の中なんて荒らしていないよ~?」

 「…本当かなぁ…」

とりあえず僕はベットから起き上がり洗面所に向かう

 「…ふわぁぁ~ぁ」

鏡の前で大きなアクビをしながら
左手で軽く頭の寝グセを直そうとした瞬間

 「…んっ!?」

即座に判る違和感に

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

僕は驚愕の声をあげた

 「ここここのののひひひひひ左手はままままさか
  シシシシルヴィおねぇぇぇぇぇさささぁぁぁぁんんんん!?」

 「は~い♪な~に~?」

僕は慌てて机の上に目を向けるとそこには
蓋の開いた赤い箱と黒い腕が置いてあったがその腕には
元々付いていた篭手のような外装が無く骨だけのようになっていた
そしてその篭手の部分は…

 「僕の腕に何付けてるんですかぁぁぁぁl!?
  これは軍に提出する証拠物件ですよぉぉぉぉぉ!?」

 「い~じゃん別に~♪それ調べたけどかなりのレア物よ?」

 「そういう問題じゃありませんよ!…ってあれ?」

……外せない…

 「おねーさん…なにか細工しましたね…」

 「あったり~フレイア真面目だから外すと思ってね~♪」

 「これじゃ呪いの装備じゃないですか!?」

 「だいじょ~ぶ♪フォトンステルスついてるから
  消えるし金属探知機にもかからないし支障ないから♪」

 「そういう問題じゃありません!!」

その僕の怒鳴り声は窓の外の通行人にまで響いていた…


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